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2014年10月23日木曜日

標準偏差・最大値・最小値とブラック・スワンの話

先日、リスクとリターンの話という記事は大変好評で、「標準偏差(リスク)」という言葉に少し親近感を覚えたとおっしゃる方々が少なからずおられたようで、大変光栄です。

ところが、あるブロガーの方から、「最大リスク値はリーマン・ショックの時の下落幅を基準にしないと危ないのではないか。それに標準偏差算定根拠データとして5年は短い」というご意見を頂戴しました。

「標準偏差の見方を覚えよう」というテーマに対して、いきなりのリスク値の是非と標準偏差の算定根拠のデータそのものに対する背後からの袈裟斬りに驚きましたが、ツィッターのフォロワーの皆さんのタイムラインを汚してまで泥仕合を演じるのはイヤだったので、ワタシからダイレクトメールで反駁したのに公開TLでないと受け付けないとおっしゃって、お答えいただけないため、今回の記事でワタシの意見を述べたいと思います。

先日の記事の標準偏差の算出範囲は、モーニングスターで表示されていた5年を例にしました。

この統計データの対象範囲に関しては、何年が適切か、きっちりと見解があるわけではありません。

「5年データの95%くらいがその範囲に収まっている」というのを2標準偏差として例示したもので、モーニングスターでは、該当投資信託が10年以上運用されているものであれば、10年データまで表示されるようになっています。
例示した投資信託が運用期間の関係で、データが5年だっただけで、10年のがあれば、10年を使った方がいいかも知れないですが、相場があまり乱高下したような特殊な6年〜10年だった時には5年の方がいい場合もあります。

5年であれ、10年であれ、標準偏差(リスク)使い方としては、「それくらいブレ幅があるんだな」という参考値です。
2標準偏差であれば、95%のデータがその範囲に収まっているという意味です。

残る5%の値は、±方向に散らばっており、つまり、最大値・最小値は2標準偏差の中には収まりません。
統計の教科書では、2標準偏差よりも外(±)にある値は、滅多に起きない異常値として排除して考える教科書もあります。
そこを譲って3標準偏差(標準偏差の±3倍)に広げても99%以内ということで、100%にはならず、最大値・最小値は網羅しません。

この「標準偏差の見方を覚えよう」という記事に対して、「最大値はリーマン・ショックの時の下落幅を基準にしないと危ないのではないか」というご意見を頂戴したわけですが、ここまでの話で、標準偏差と最大値・最小値の話はちょっと違うとようだということがわかっていただけたと思います。

さて。1標準偏差や2標準偏差がバラつきの目安として使われています。
他方、最大値・最小値は、バラつきの目安ではありません。MAX・MINでこの値があったという意味です。

そして、それが、統計で収集したデータの95%が2標準偏差に収まるため、参考値としてそれだけのバラつきがあるという意味であり、絶対その中に収まるとか、その中に収まる前提で何かを判断していい、という意味ではありません。目安です。目安。

そして、頂いた意見の「最大値はリーマン・ショックの時の下落幅を基準にしないと危ないのではないか」ですが、最大値・最小値こそ、信用できません。

リーマン・ショックは未曾有の下落で100年に一回の事象として語られ、またあっという間の下落でした。

「ブラック・スワン」という言葉をご存知でしょうか?

スワンは白鳥ですが、白鳥は白いものだという常識が、ある日、黒い白鳥が発見された瞬間、白鳥は白いものだという常識が覆りました。発見された瞬間です。
このように常識というものは、新たな発見や事象の発生によって一瞬によって覆る、という教訓です。

この「ブラック・スワン」の教訓から、「最大値はリーマン・ショックの時の下落幅を基準にしないと危ないのではないか」という言い分は、リーマン・ショックを超えるブラック・スワンが起きたらどうするんだ?ということで簡単に覆ります。

ですから、最大値・最小値をどう考えるか、というのは、隕石が落ちてくる心配をしながら生きろ、と言ってるのと同様で、落ちてこない保証はないのですし、落ちてきたら覚悟しなきゃあいけないですが、日々の行動をそれを前提として考えろ常に。。。というのは少し間違ってると思いませんか。落ちてこないことはない。落ちてきたら仕方がない。という類で、いざ鎌倉で、落ちてくる前提で朝から晩まで備えろというのは、どうかと思います。

今日、朝、出かけるときに、隕石が落ちてくることを念頭に用心して出かけてきましたか?

でも過去に隕石が落ちてきた事実はだれでも知ってますし、備えなくていいとは誰も思っていません。

最大値・最小値は、過去に実際に起きた極論です。

でもその最大値・最小値さえ、リーマン・ショックを超えるショックは来るかもしれません。最大値・最小値は予測不可能なのです。

単体で株や債券を持っていると吹っ飛ぶ可能性は大かも知れませんが、投資信託の良いところは広くたくさん分散されているところです。
特にインデックス投信の分散ですと、それがオール0になったら、もう資産運用云々の危機ではありませんので別の対応法を勘案するとして、インデックス投信の分散で心拍数がゼロになることはないはずです。
最大値・最小値の議論好きは人に言わせると、インデックス投信の分散でもゼロになるかもしれないじゃん、ということで、それはその通りですが、それがどうした?ということです。

標準偏差の使い方というのは以下のイメージです。
国内オンリー(たとえば日経225とかTOPIXとか)の投資信託でない限り、投資信託は、売買注文を出して翌日以降の基準価額で取引が決まります。
標準偏差が大きいということは、売買の時に、「昨日の基準価額は良かったのに今日はどうなっちゃったの?」という大きな変動を伴うことも多いということで、ちょっと長い期間持ってるつもりだから大きく振れるから儲かる可能性もあるんだよ、と豪快に構えるのも良いですが、肝心の売買の取引価格決定の日にわずか一日二日の差で地獄に落ちる可能性がある、という見方もできるということを肝に銘じておきましょう。

ご意見いただいたブロガーの方は、標準偏差のことを突き詰めすぎて、最大値・最小値と頭の中でごった煮になってしまい、標準偏差の枠内に最大値・最小値を入れて精度を高めようとしたのだと思いますが、それは、彼女がきっと日々、隕石の落下におびえて生活してるのではないでしょうか?

<教訓>
数字にこだわりすぎて、本来の見方、捉え方を外さないようにしよう。

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